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桑島秀樹

個展 “hideki kuwajima”

2019年12月21日(土) – 2020年1月25日(土)

開廊時間:12:00~19:00、休館日:日曜日、12/27-1/3

作家在廊日:12/24, 12/26, 1/4, 1/6, 1/11, 1/13, 1/18, 1/22, 1/23,1/25  14:00- 

会期中イベント:2019年12月21日(土) 18:00− レセプション

このたび YOD Galleryでは、桑島秀樹による、2015年の弊廊における個展以来3度目の展示となる個展“hideki kuwajima”を開催いたします。

 

桑島はこれまで、一つのテーマに絞った展示を行ってきましたが、本展では自身の美術家としてのキャリアである30年間が詰まった複合的なテーマに挑戦します。一つ目のテーマは「bright」。これまで制作してきたガラスを被写体として撮影したシリーズです。仕上がりを綿密に想定し、慎重に並べられたモチーフを撮影した作品ですが、シンプルな被写体であるからこそ、その反射光がイメージの深みに影響する作品です。

 

二つ目のテーマは「under neon」。6枚組の大きな画面に映し出されるのは、大阪の街の鮮やかなネオンサインです。大阪生まれ大阪の商店街育ちである桑島にとって、人工光は日常にありふれたものであり、徐々に彼の視界の中で意味を持たない抽象的な光になっていったと言います。この経験をいかに写真に映し出すか考えた結果、「under neon」シリーズが生まれました。

 

三つ目のテーマは、「gravity work」。桑島は、モナリザの像に向かって、湯煎で液状化させた感光乳剤を吹きかけ続けて露光するという行為によって、像の崩壊を引き起こしました。液体の落下速度をテストである程度把握した上で、緩やかに像が崩壊していくであろう露光時間を計算して作られたのですが、そこには数え切れないほどの失敗が伴ったと言います。この作品の発端はいたってシンプルなもので、「仕事場で買ったばかりの美しい陶器のカップを誤って落としてしまい、ほぼ原型を留めぬ変わり果てたその様に、以前のそれとは違った美しさを感じたのがきっかけです。」と桑島は語り、その時に得た感覚を作品にするために、普遍的な美のアイコンとされる「モナリザ」をモチーフにし、重力と写真を関連付ける最も直接的な表現の材料として思い当たったのが液体写真感光乳剤でした。桑島は、「『正しさを疑う視点』、これは私の制作プロセスに於いて重要な事柄のひとつです。普遍的、或は固有の概念めいたものを解きほぐし、崩壊感という新たな美しさの定義を導き出す実験さながらの表現行為が、この作品制作の骨子となっています。」と語ります。

 

四つ目のテーマは、「潜像」です。真っ白と真っ黒に覆われた2枚の巨大な作品には、像が映し出されていません。この作品の誕生には、桑島自身の入院生活が深く関係しています。桑島は病を患った際、病院で空いた時間に自らの人生を振り返ったと言います。その時、彼は病気で盲目になった亡き母の言葉を思い出しました。「目は白くぼやけて見えないけれど、今やこれからを感じることはできるのよ」。この言葉に対して、桑島は目を閉じた際の暗闇が過去、目を開いた際の薄明かりが未来であるという解釈をし、瞳で感じる光そのものの「明暗」を作品にする方法を模索していました。「写真はイメージ(絵)が存在しなければならないという固定観念を覆す必然性を感じた。長年経験を積んだ上での1つの考え方の提示として今作を発表する」と桑島は語ります。もう一点、「潜像」をテーマとした作品として、桑島が父親から譲り受けたポラロイドフィルム5枚を用いた作品を展示します。下積み時代に亡き恩師より受け継いだ「プロとしての5つの条件」を、桑島は今も礎としており、その条件に基づいて極めて綿密にモチーフを撮影した後、それらの写真を現像状態のまま展示することで、半永久性の象徴として位置づけています。「一発で決める」という信念を持ち写真撮影に挑み続けた桑島の原点、そして30年の集大成とも言える本展を、ぜひこの機会にご高覧ください。

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