top of page
Mini_Blue_2011_53x45.5cm_colour on paper

  川又仁奈

「生生流転」

会 期: 2013年4月27日(土)~5月18日(土)
  

閉廊日:毎週日・月曜  開廊時間:12:00~19:00Hours: 12:00-19:00, closed Sunday, Monday

オープニング・パーティー  4月27日(土)18:30~21:00

近年における日本画界は、現代美術の世界からも注目を浴びる次世代を形成すべき1980年代生まれの作家の台頭が目覚しく、その才能を如何なく発揮しています。その世代の活躍する女性作家の一人として、川又仁奈の個展を開催いたします。川又は日本画家として伝統的な中国や日本の古典的な題材の模写をすることから始まり、草花で装飾された西洋の神話に登場するような人物や天使を想像して描くことにより、生命力の象徴である草花に、思いや希望、概念を投影し委ねながら、理想郷や崇拝の対象、さらに自然と人間について彼女の考える世界を象徴的に表現しています。

川又の描く人物像は、人間の形を保ちつつも、人間という存在を超越した生命の理想の姿や、幻想の姿をイメージして描かれています。学部時代に帝釈天の模写をきっかけに、精神観のアニミズムやシャーマニズム、自然崇拝や多神教など人類の祖先が持っていた宗教的概念である原始宗教思想を追求するようになり、それを自分なりに解釈し、表現したいと思うようになったと言います。汎心論的なあらゆるものが心的な性質をもつ世界観のなかで、まだ宗教が生まれていない時代に生きた人々が、強大な自然を直接肌で感じ、時に恐怖し、時にその美しさに息を呑んだように、川又も同じような感覚で、海、山、風、大地などのあらゆる自然に囲まれ生きる中で、森羅万象の心を感じ、すべての対象は心を持つ存在と考え、彼女の表現の中に自分の中の「神」として映し出されます。

今回の展覧会タイトルである「生生流転」という言葉は、すべての物は絶えず生まれては変化し、移り変わっていくという意味です。宗教や概念、哲学が地域や時代背景とともに変化するように、人々の自然に対する信仰のかたちも様々で、作家がそれらを表現するかたちも移り変わっていきます。その移り変わりの中でも、日本人が手を合わせて無意識に自然やものを敬う思想はとても独特であり、我々の普遍的な心としていつまでも変わらず残っています。川又は、その我々の日常にも垣間見えられる根本的な自然信仰を大切に思い、それを新しい価値観と日本画の表現のなかで、古くから変わらない日本人の信仰や思想として改めて気付きを与え、現代の鑑賞者に優しく語りかけていきます。今回の展示では、川又が自分の中で解釈する「神」的な象徴が描かれた新作を軸で表現する新作5点と、それらが存在する幻想の世界から切り取られた断片を小作品で散りばめ、空間全体を展示いたします。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram

文章・画像等の無断転載を禁じます。
COPYRIGHT(C)2008- YOD Gallery ALL RIGHTS RESERVED

bottom of page