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 加賀城 健 

「transFLAT"」

会 期:2011年1月15日(土)~2月12日(土)
  

閉廊日:毎週日・月曜  開廊時間:11:00~19:00

オープニングレセプション
  1月15日(土)17:00~ 

このたびYOD Galleryでは、約2年ぶりとなる加賀城 健 (Ken Kagajo, b.1974) の個展を開催いたします。これまで加賀城は、自らの身体動作と感覚をモノトーンの線や帯の集積として平面に表現する「脱色」のシリーズと、一昨年の個展から発表した鮮やかな多色の染料を滴り落とし、偶然的に発生する色の融合と衝突を操る「染色」のシリーズを駆使して、大胆なかたちや色彩を生み出す抽象表現を展開してきました。彼はそれらを一般的な絵画とは異なる手法で表現し、絵画の最も権威といえるキャンバス画に対抗しうる作品を作り出すべく、意欲的に活動を続けております。

今年2010年に、加賀城は新たな展開となる「Veil」シリーズを発表しました。「Veil」シリーズは、脱色・染色で表現した布上にバインダーと呼ばれる液体樹脂で描く行為が特徴となるものです。3次元の世界を表現するために2次元の支持体の上で描くことが前提である絵画表現に、本質的な問題定義を新たに投げかけたものと言えます。近年、「絵画の平面性」の問題を説いた代表的なものとして、村上隆が提唱した「スーパーフラット」があります。江戸期の浮世絵から現代のマンガ・アニメに至る日本文化に連綿と続く表現において、描くモチーフの表現における非立体感こそ日本的表現の典型であると、西洋起源の遠近法の否定を提示したものです。一方で加賀城は、自らの染色・脱色を駆使した表現を、いわば画面の表面上に凹凸を生み出さないことによる、物質的な観点での完全な2次元の絵画表現を成立させるものとして位置づけています。村上の主題とはまた別の視点での「絵画の平面性」へのアプローチと言えますが、一般的なコラージュや絵具の盛り上げなどによって絵画そのものが物質的にも3次元に歩み寄る方法に対して、加賀城の表現は視覚的な変化だけを用い、いわば完全な物質的2次元の絵画表現であることに固執したものでした。次の展開となる「Veil」シリーズは、すでに表現が作り上げられた布上に加筆することで生じる2次元性の矛盾を通じて、見落とされてきた「絵画の平面性」の新たな概念を追求しているのです。

当展では、「FLAT」をテーマにインスタレーションとタブロー作品を混合させたギャラリー空間へと作り上げていきます。「Veil」シリーズをメインとした作品構成にて、単なる物質的2次元の絵画表現への追求から逸脱し、その新たな表現から浮き彫りになる「絵画の平面性」の問題を、空間全体で再構築し提唱する内容となっております。彼の真骨頂でもあるインスタレーションの要素の中にも新しい試みを提示し、身体性から生まれる造形力の表現だけに留まらず、空間全体でこの絵画に対する問題提議をさらけ出していくことでしょう。

すでに描ききり成立したはずの作品の平面上に、再び平面を作り出す行為。この矛盾していると思われるはずの行為の中に、私たちの固定概念としてある「絵画の平面性」の定義を、加賀城の作品を通じて改めて考える機会になればと思っております。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


 

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