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山本雄教

『青いテントと五つの輪』

2018年9月29日(土) – 2018年910月20日(土) 

開廊時間:12:00~19:00、休館日:日曜日

レセプション | 2018年9月29日(土) 18:00-


このたびYOD Galleryでは、山本雄教(1988年京都生まれ)『青いテントと五つの輪』 展を開催いたします。

山本は、普段は目にも入らないような些細なものにも、その単一の価値を遙かに超越した偉大さにつながる可能性が秘められていると考えている。「米粒の輝きに虹を見るように、財布の中の一円硬貨の汚れに人間の跡を見るように、ブルーシートの青色に富士山を見るように。」世界の本質は、遠いところにあるのではなく、すぐそばにあると言う。

日本画家安田靫彦の「一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入るでしょう」という言葉は、山本の制作に大きな影響を与えている。「これは描く対象に無心で接することを説いた言葉であるが、私はその本来の意味とともに、葉っぱという小さな対象が宇宙という遙かにスケールの大きなものにつながっていくところに、視界が一気に開けるような感覚を覚えた。一枚の葉っぱが足下に落ちていたとしても、見ようとしなければそれはただの葉っぱでしかなく、あるいは葉っぱですらない。しかしひとたびそこに目を向ければ、そこには宇宙を見るかのような世界が広がっている。安田靫彦の言葉から、私はそのような思いを持った。」と山本は言う。

東京五輪が2020年に迫ってきている今を、山本は学生時代に目にした光景を思い出しながら制作をしている。一番印象的なものは、国際競技場裏の公園に暮していた人々のブルーシートテントであった。当時の五輪招致活動の垂れ幕は、彼らを覆い隠すようであったと山本は語る。その後、五輪の開催が決定し、それらの人々は強制退去を命じられたようだ。東京五輪開幕は、日本全体にとって否応無しにひとつのゴールとして掲げられる。しかし、最高の晴れ舞台にするために、多くのものを犠牲にし、隠さないといけない。見たくないものをブルーシートで覆ってしまうように。山本は、見落とされそうなものに視点を集中させ、それを自身の表現に取り入れ、今展の作品を通して、オリンピックを目の前にした現代社会と、覆い隠しても決して消えることのない現実に観覧者の目を向かせる。ぜひこの機会にご高覧ください。

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