top of page
スクリーンショット 2019-07-02 17.09.32.png

  新野 洋

「幻想採集室」

会  期 2014年2月18日(火)~3月8日(土)


閉廊日:毎週日・月曜、開廊時間:12:00~19:00

レセプション・パーティー  2月22日(土)18:00~

このたび YOD Gallery では、造形作家である新野洋(Hiroshi Shinno , b.1979)の新作展を開催いたします。2011年の個展以来、弊廊にて二度目の展示となりますが、今回の展は、前回からの作品形態の変遷、その背景にある制作環境の変化がうかがわれるものとなっております。
 

自らの居住する地域に生育する植物の断片――花、葉や実などを採集・観察し、その形態を材料に型取りをしたうえで樹脂成型し、“いきもの”としてのかたちに練成するという制作手法をもつ新野ですが、制作アトリエを以前の住宅地に位置する立地から京都と奈良の県境に位置する山村へと転居したことで、採集対象となる作家を取り巻く自然が変わり、そこに息づく植物環境も以前とは異なる様相を現し、作品のかたちに変化を与えています。また、その作風においても、単体の生物を思わせる、堅固な一体の動物型を成していた時期から変化して、細かな単体の生物同士が群れを形成することで別の大きなフォルムをかたちづくるという、単細胞が集うことで多細胞となるような、より生命にとっての本質的な構造を深くとらえた新たな作風が姿を見せ始めています。新野の作品は、幼少より親しんできた自然との触れ合いの経験が重要な創作動機となっています。それは自然という環境なくしては我々人類の暮らしは成立せず、我々もまた、自然という起源から生まれた存在だということを想起させます。里山という、人の手が加わることでより調和を保つようになった自然環境に囲まれて生まれた作品群は、生物個体と環境との融和を思わせ、人間と自然との共存の可能性を問いかけます。
 

今展覧会は、我々を取り囲む自然環境とは生物を育む場であり生命の源の場である、その自然環境を表現した空間的な広がりと、“生物”という閉じた個体性を意識した展示の間を行き来しながら、あるいはそれら二者の境目が溶け合いはじめるような感覚を想起させる展示となっております。自然界の空間的広がりは広大無辺なものですが、当展では、その自然環境を模したインスタレーションをギャラリーという限定的な空間に行なうことで、「幻想採集室」として箱庭のように切り取り、作家の自然への尽きせぬ憧憬によって拾い集め積み重ねられた、“幻想=いきもの”たちがまさに呼吸しはじめるような、自然の美を感じさせる展示空間が現出します。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram

文章・画像等の無断転載を禁じます。
COPYRIGHT(C)2008- YOD Gallery ALL RIGHTS RESERVED

bottom of page