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  佐竹龍蔵

「ちいさなものたち」

2016年6月18日(土)~7月9日(土)

 

閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

 

関連イベント
  アーティストトーク:7月9日(土)16:00~17:00
      クロージングパーティ:7月9日(土) 18:00~
 

このたびYOD Galleryでは、2013年の弊廊における初個展以来二度目となる佐竹龍蔵(Ryuzo Satake, b.1987)の個展「ちいさなものたち」を開催いたします

佐竹は、京都造形芸術大学在学中から個展及び様々なグループ展にて精力的に作品を発表し続け、独自の点描法を確立しました。岩絵具特有の透明感を生かし、単色を平筆で点のように薄く塗り重ね描画する肖像画が、京都府美術工芸新鋭展 毎日新聞社賞(2014年)、GEISAI#16片桐孝憲賞(2012年)、ART AWARD NEXT #1準大賞(2010年)を受賞するなど高い評価を受けています。

佐竹の作品は、描かれたものの感情や置かれた状況や背景にある物語性があいまいで、その意味を感じ取るための適度な角度や距離を見る者に委ねられます。点描画面は下塗りの上に幾重にも重なる矩形の色面で構成され、溶き薄められた岩絵具の粒子が拡散し、下の色が透過することで透明感が高まり、ピクセルや光の存在も意識させます。微かに感じられる空間性や身体性から「希薄」という言葉で語られる肖像や風景画は、画面上にあふれる細かな線や色などパーツの中からぼんやりと浮かび上がり、ひとたび像を結んだと思うと拡散していきます。その姿は漫画やアニメのキャラクターや風景のようであり、また、現代日本の美意識の記号化にも読み取れます。「日本画から洋画、現代美術の様々なスタイルや各種の映像表現、更にはサブカルチャーでのキャラクター・イメージまでを等価に解きほぐし、それらのすべてを貫通して結像している*」と評される独特のスタイル、それを可能にする高度な技術により、佐竹は作品、鑑賞者、作家間の関係性や距離感を多義的にし、喜怒哀楽の区別がつかない情動を鑑賞者の内外に生み出します。

2013年の展示ではそれまで自画像や同世代の青年像を中心に描いてきた佐竹が「こども」に焦点を移したことが新鮮でしたが、描かれるものが特定のイメージや存在と結びつくことはなく、また喜怒哀楽や身体感、画家による意思の介在は最小限に抑えられていました。本展では「風神雷神」や「龍」、佐竹の出身、高知に伝わる「しばてん(芝天)」など、日本の古典や伝承、日本の伝統美術に繰り返し現れ、人々の想像で描かれてきた存在、特に精霊や物の怪の類を題材とし、「だれでもない」存在から特定の存在へと変わっています。これらは佐竹が学んできた日本画をはじめ作家自身のルーツとも関わりがあり、作品における作家の存在が必然的に大きくなっています。しかし描かれる対象を希薄化、記号化する佐竹の点描は、鑑賞者それぞれの中に存在する精霊や物の怪を映し出す鏡となるのかもしれません。「伝承に描かれる彼らのイメージや物語は巨大だけれど、結局すべては人間の想像の中にあり、脳に収まる小さなものたちです。」と佐竹は言います。佐竹はこれらの存在を分解、再構成、また鑑賞者との距離感をあえて曖昧にすることで、その本質を描き出そうと試みます。ぜひこの機会にご高覧賜りますようよろしくお願い申し上げます。 

(*出典:椹木野衣「残響する白い部屋のなかで---佐竹龍蔵の人物画」) 

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