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  桑島 秀樹

 

「Tone Scape」

会 期:2015年5月9日(土)~ 5月30日(土)
  

閉廊日:日・月曜日
  

開廊時間:12:00~19:00

このたび YOD Galleryでは、写真家、桑島秀樹の個展「Tone Scape」を開催いたします。2012年の弊廊における初個展以来2度目の展示となります。
 

桑島は、綿密に構成されたガラスの透明感を生かし、光と影の多層レイヤーを映し出した作品群で知られていますが、今回の展示では京都と大阪の街を被写体としており、風景を撮るという新たな試みを行っています。生まれ育った大阪と昨年から生活の身を移した京都の街の風景とカメラを通して対峙してみることで、どのようにそこから作品を生み出すのかという考察を行っています。
 

二種類の違うフィルムを使い、作品によっては何度もデュープ(フィルム複製)作業を行いながら、白黒の階調を調節していくという時間のかかるアナログの技法で作品を生み出していることも注目するべき点でしょう。なぜ、今回はデジタルではなくアナログの手法を採用したのでしょうか。桑島はデジタル写真が当たり前のように使われている近年において、どういった技法で、またなぜその媒介を通して表現していくのかということについて、もう一度立ち止まって吟味し直す態度を示しています。また、今回の制作においてアナログの手法が使われた一つの理由として、撮影されたネガを解体、また新たに構築していく非常に手間のかかる工程によって、作品のイメージをくみ上げる時間を生み出すことが重要だったからです。風景が映し出されたネガの解体と再構築の中で、新たに作り上げられた「造景」からは桑島の厳密なコントロールを感じとることができ、これは従来の桑島作品に通じる複雑で密度の高い構成力の表出と言えるでしょう。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

“Tone Scape”

普段カメラを持ち歩かない私の場合、撮影という目的が自らにしっかりと備われば何気ない風景はとたんに一変する。

眼前の事柄を四角い小さな枠を通して「見たもの」としての過去をフィルムに収め、次の角を曲がる時に見えるであろうその有様に心を躍らせ、視覚的な過去と未来を往来した。

そしてその断片が羅列されたネガ像を一枚ずつ解体し、次の未来像を模索するかの様にそれらを繋ぎ合わせ、新たに再構築するといった作業を実験さながらに繰り返した。

今作は記録された風景の時間軸そのものを僅かに、または大きく歪曲させた私にしか知り得ない「造景」としての極めて主観的な景色である。 


桑島秀樹

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