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  張 立人(Li-Ren Chang)

「古典小電影」

会  期 2013年12月16日(月)~12月27日(金)
  

閉廊日:24日(火)、開廊時間:12:00~19:00

レセプション・パーティー  12月21日(土)18:00~20:00

このたびYOD Galleryでは、台湾の映像作家 張立人(Li-Ren Chang,b.1983)の新作を含む7点の映像作品を展示した、日本における初個展を開催いたします。

 張は国立台湾芸術大学卒業後、台南芸術大学造形研究所に在学し、2009年頃から映像作品「古典小電影」を発表する。その作品はすぐに注目され、同年には3つの賞を受賞し、作品は台北市立美術館や上海美術館で展示され更なる脚光を浴びることになり、翌年には北京や韓国の美術館で紹介される。

 「古典小電影」シリーズは、台湾の厳戒令時代(1949年~1987年)に、愛国時代映画が上映されていた映画館のメインスクリーンの脇で、憲兵隊の臨検を逃れるために小さなスクリーンで上映されていたポルノ映画に由来する。個人の感情は厳しく規制され、社会全体が政府によって厳しくコントロールされ、人々の思想や行動には規範が設けられた時代である。一般市民も政府の規定にそぐわないものは全て隠蔽し、人民と政府は口裏を合わせたかのように、社会全体の日常というものを築き上げた。張は、そのような一般市民の生活を作品に表している。そういった矛盾が満ち溢れる生活の中で、我々は他人のデンティティをまとって生活しているかのようであると言う。そして、真のリアリティを追求する為に、作品の中で女性の衣服を脱がし露にしていく。

 例えば、ミレー「羊飼いの少女」は、少女に服を脱がせることで、最終的には風景付きの裸体画となる。服を脱ぐというプロセスによって、鑑賞者の見えるか見えないかといった感覚器官の欲望が満たされる。彼女は実は架空の人物なのだが(あるいはその少女は当時モデルとして確かにかつて存在した)、性的欲望の対象物としては、実際の肉体よりも、もっとリアルである。そして、少女を「彼女」と呼ぶことで、私たちは「彼女」の存在を信じ、想像するのである。服を脱ぐプロセスは、少女の状態変化を表し、ミレーの羊飼いの少女から無名かつ無職の裸の少女へと変化する。そしてその変化の間、彼女は鑑賞者の鑑賞対象であり続ける。鑑賞者は、彼女が全身真っ裸の少女へと変化した後の静止画面でも、背景の羊の群れや絵の雰囲気から、これがミレー作『羊飼いの少女』だと分かるかもしれない。しかし、そこには矛盾が発生する。少女と羊の群れや稲藁などの背景との関連性を失わせることにより、もうミレーの羊飼いの少女ではなく、改竄された裸体画なのである。この変化の過程は、少女が服を脱ぐ姿を鑑賞者が見ることで発生するが、その過程は鑑賞者が鑑賞状態にあるだけでなく、同時に「改竄の過程」でもあるのだ。そしてこの改竄は、画面上だけでなく、また同時に鑑賞者の心でも起こっている。

 張は、一般的に見過ごされがちな現実を見つめ直し常に作品にしている。日常生活に薄められることで麻痺してしまった多くの事物の存在意義を露にし、時には残酷な表現をすることにより、リアルを追求し我々に訴えかけている。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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