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山本 雄教

山本は、普段は目にも入らないような些細なものにも、その単一の価値を遙かに超越した偉大さにつながる可能性が秘められていると考えている。「米粒の輝きに虹を見るように、財布の中の一円硬貨の汚れに人間の跡を見るように、ブルーシートの青色に富士山を見るように。」世界の本質は、遠いところにあるのではなく、すぐそばにあると言う。

日本画家安田靫彦の「一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入るでしょう」という言葉は、山本の制作に大きな影響を与えている。「これは描く対象に無心で接することを説いた言葉であるが、私はその本来の意味とともに、葉っぱという小さな対象が宇宙という遙かにスケールの大きなものにつながっていくところに、視界が一気に開けるような感覚を覚えた。一枚の葉っぱが足下に落ちていたとしても、見ようとしなければそれはただの葉っぱでしかなく、あるいは葉っぱですらない。しかしひとたびそこに目を向ければ、そこには宇宙を見るかのような世界が広がっている。安田靫彦の言葉から、私はそのような思いを持った。」と山本は言う。

東京五輪が2020年に迫ってきている今を、山本は学生時代に目にした光景を思い出しながら制作をしている。一番印象的なものは、国際競技場裏の公園に暮していた人々のブルーシートテントであった。当時の五輪招致活動の垂れ幕は、彼らを覆い隠すようであったと山本は語る。その後、五輪の開催が決定し、それらの人々は強制退去を命じられたようだ。東京五輪開幕は、日本全体にとって否応無しにひとつのゴールとして掲げられる。しかし、最高の晴れ舞台にするために、多くのものを犠牲にし、隠さないといけない。見たくないものをブルーシートで覆ってしまうように。山本は、見落とされそうなものに視点を集中させ、それを自身の表現に取り入れ、作品を通して、オリンピックを目の前にした現代社会と、覆い隠しても決して消えることのない現実に観覧者の目を向かせる。

CV

1988年 京都府生まれ
2010年 成安造形大学 日本画クラス卒業
2011年 成安造形大学 研究生修了
2013年 京都造形芸術大学大学院修士課程修了

【主な個展】

2013 「What is there コメをみる※コメにみる」(gallery PARC/京都)

2014 「RICE LIFE」(ギャラリー和田/東京)

    「How is this connected to that?」(つくるビル/京都)

    「one」(ギャラリー恵風/京都)

2015 「EXCHANGE」(gallery maronie/京都)

2016 「Fake blues」(+1art/大阪)

2017 「見立てと反復」(ギャラリー和田/東京)

    「××××円の人」(ギャラリー恵風/京都)

    「THE PEOPLE」(大雅堂/京都)

2018 「山本雄教作品展」(松坂屋静岡店美術サロン)

    「山本雄教展」(西武池袋/東京)

    「青いテントと五つの輪」(YOD Gallery/大阪)

 

【主なグループ展】

2013 「京都造形芸術大学卒業・修了制作展」(京都造形芸術大学瓜生山キャンパス/京都)

    「画心展selection vol.3」(佐藤美術館/東京)

2014 「続 京都日本画新展」(美術館「えき」KYOTO/京都)同’15

2015 「琳派400年記念 新鋭選抜展 ~琳派の伝統から、RIMPAの創造へ~」(京都文化博物館)

    「BAZAAR ART JAKARTA 2015」(リッツカールトンジャカルタ/インドネシア)

2016 「ART APART FAIR SINGAPORE」(PARKROYAL PICKERING HOTEL SINGAPORE)

    「幻想の質量」(2kw gallery/大阪)

    「琳派400年記念 新鋭選抜展-琳派 FOREVER-」(京都文化博物館)

    「第22回 尖展」招待出品(京都市美術館)

    「四畳半クロッシング 高村総二郎×山本雄教」(gallery maronie/京都)

    「ART TAIPEI 2016」(Taipei World Trade Center)

2017 「アートフェア東京2017」(東京国際フォーラム)

    「ART TAIPEI 2017」(Taipei World Trade Center)

    「Affordable art fair Singapore」(F1 Pit Building/シンガポール)

2018 「京都府新鋭選抜展2018 – Kyoto Art for Tomorrow -」 (京都文化博物館)

    「新進芸術家選抜展 FAUSS」(アーツ千代田3331/東京)

    「京都アートラウンジ」(ホテルアンテルーム京都)

    「アートフェア東京2018」(東京国際フォーラム)

    「ART OSAKA2018」(ホテルグランヴィア大阪)

    「~Crossing~ 高村総二郎×山本雄教」(GINZA SIX/東京)

 

【受賞】


2013 京都府美術工芸新鋭展 2012京都美術・工芸ビエンナーレ
    公募部門大賞 (京都文化博物館)
    美術新人賞デビュー2013準グランプリ(ギャラリー和田・フジヰ画廊/東京)
2014 TERRADA ART AWARD優秀賞(T-Art Gallery/東京)
2017 「第7回トリエンナーレ豊橋」 星野眞吾賞展入選、審査員推奨(豊橋市美術博物館)

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