LOGO1.jpg

杉山 卓朗

杉山は学生時代から一貫して「幾何学的に立体に見える」平面作品を描き続けてきました。線の構成により成立した面を色彩を加味しながら緻密に組み合わせ、それらを主観的な自らの感覚のみに頼って制限された画面内でつなぎ続けることにより、一見エッシャーの騙し絵を連想させる非現実的な立体感を持つ平面作品を生み出します。しかし驚くべきは、一瞬デジタル処理によって作られたかのように見えるこれらの構図は、全て彼の頭脳と感覚の中だけというアナログな手法によって完結されていることです。コンピューター全盛のこの時代にむしろ逆行していると感じるほどの非合理的な手法ですが、改めて人間の頭脳の卓越さと同時にその不可解さをも思い知らされます。


また彼の作品のもう一つの着眼点は、線・面という単一の要素が生み出す動きにあります。人は物理的要素が重なることによって連続性を感じ取り、そこに何らかの動き・流れを認識します。彼の作品では画面内に生成する線を複合体として成立させていく面が増殖することで、立体性を感じさせる物象が生み出され、私たちはマッス(量塊)としての動きを感知する錯覚に陥ります。その錯覚が生じる要因となるのは、線を起源とした彼の「かたちづくり」のマジックなのです。更に直感的に選んだ色彩が増殖された面に加わることにより、隣接した色彩の違いは、あたかも光と影が不規則に存在しているような感覚を与えます。こうした彼の平面内でのマッスの増殖へと向かう過程は、線・面という単一の要素をアナログと主観性の強調という彼独自の「かたちづくり」の視点で構築したものであり、その過程からあらゆる部分を独自の感覚で抽出する彼の作品づくりは、従来のジオメトリズムの概念とは異なっており、全く新しいスタイルであることに疑いないのです。

文章・画像等の無断転載を禁じます。
COPYRIGHT(C)2008- YOD Gallery ALL RIGHTS RESERVED