新野 洋
新野は、自らの居住する地域に生育する植物の断片――花、葉や実などを採集・観察し、その形態を材料に型取りをしたうえで樹脂成型し、“いきもの”としてのかたちに練成するという制作手法をもつ。制作アトリエを以前の住宅地に位置する立地から京都と奈良の県境に位置する山村へと転居したことで、採集対象となる作家を取り巻く自然が変わり、そこに息づく植物環境も以前とは異なる様相を現し、作品のかたちに変化を与えている。また、その作風においても、単体の生物を思わせる堅固な一体の動物型を成していた時期から変化して、細かな単体の生物同士が群れを形成することで別の大きなフォルムをかたちづくるという、単細胞が集うことで多細胞となるような、より生命にとっての本質的な構造を深くとらえた新たな作風が姿を見せ始めている。
新野の作品は、幼少より親しんできた自然との触れ合いの経験が重要な創作動機となっている。それは自然という環境なくしては我々人類の暮らしは成立せず、我々もまた、自然という起源から生まれた存在だということを想起させる。里山という、人の手が加わることでより調和を保つようになった自然環境に囲まれて生まれた作品群は、生物個体と環境との融和を思わせ、人間と自然との共存の可能性を問いかける。
CV
1979年 京都府生まれ
2003年 京都造形芸術大学 洋画科 卒業
2008年 ウィーン美術アカデミー(Akademie der bildenden Künste Wien)卒業
【主な個展】
2008 "Insects - SONGSONG"/ ウィーン、オーストリア
2009 Viennafair /ウィーン、オーストリア
2010 「ふゆむしなつくさ」 / TANADAピースギャラリー / 京都
2011 いきとし " いきもの "/YOD Gallery / 大阪
2012 いきとし " いきもの " /Art Fair Tokyo 2012 / 東京 ( YOD Galleryから出展 )
いきとし " いきもの " / 銀座三越 / 東京
いきとし " いきもの " /Art Taipei 2012 / 台北、台湾 ( YOD Galleryから出展 )
2014 幻想採集室 - YOD Gallery / 大阪
Mikrokosmos⇔Makrokosmos展 - 軽井沢ニューアートミュージアム / 軽井沢、長野
2015 VOLTA NY / ニューヨーク、アメリカ ( YOD Galleryから出展 )
VOLTA 11 / バーゼル、スイス ( YOD Galleryから出展 )
2016 新野 洋 個展 - Gallery Den mym / 京都
APMoA Project, ARCH vol.19 新野 洋 日月の江 - 愛知県美術館 / 愛知
PULSE Mimi Beach 2016 / フロリダ、アメリカ ( YOD Galleryから出展 )
【主なグループ展】
2008 アーティスト・イン・レジデンス "Aquarell Happening" / チロル、オーストリア
2009 "We" MARIO MAURONER CONTEMPORARY ART / ザルツブルグ、オーストリア
アーティスト・イン・レジデンス "European Researchers Night" BIO CENTER / ウィーン、オーストリア
2011 ART FAIR KYOTO 2011 - ホテルモントレ京都 / 京都 ( YOD Galleryから出展 )
ART OSAKA 2011 - ホテルグランビア大阪 / 大阪 ( YOD Galleryから出展 )
ART FAIR TOKYO 2011 - 東京インターナショナルフォーラム / 東京 ( YOD Galleryから出展 )
HANARART はならぁと / 宇陀市、奈良
里山実験室 - まつだい「 農舞台 」ギャラリー / 新潟
2012 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2012 / 新潟
2013 回遊De Art 2013 - 回遊美術館 / 池袋、東京
夏の思い出森の夢 〜 不思議ないきものたち 〜 - ヤマザキマザック美術館 / 愛知
2014 夏休み!いきもの図鑑 - 群馬県立館林美術館 / 群馬
2015 これ、すなわち生きものなり - ボーダレス・アートミュージアム NO-MA / 滋賀
2017 Phenotype - Marie Kirkegaard Gallery / コペンハーゲン、デンマーク
わたしとしぜんと - 瑞雲庵 / 京都
学園前アートフェスタ2017 - メメント・森 - / 奈良
2018 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018 / 新潟