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新野 洋

自らの居住する地域に生育する植物の断片――花、葉や実などを採集・観察し、その形態を材料に型取りをしたうえで樹脂成型し、“いきもの”としてのかたちに練成するという制作手法をもつ新野ですが、制作アトリエを以前の住宅地に位置する立地から京都と奈良の県境に位置する山村へと転居したことで、採集対象となる作家を取り巻く自然が変わり、そこに息づく植物環境も以前とは異なる様相を現し、作品のかたちに変化を与えています。また、その作風においても、単体の生物を思わせる、堅固な一体の動物型を成していた時期から変化して、細かな単体の生物同士が群れを形成することで別の大きなフォルムをかたちづくるという、単細胞が集うことで多細胞となるような、より生命にとっての本質的な構造を深くとらえた新たな作風が姿を見せ始めています。新野の作品は、幼少より親しんできた自然との触れ合いの経験が重要な創作動機となっています。それは自然という環境なくしては我々人類の暮らしは成立せず、我々もまた、自然という起源から生まれた存在だということを想起させます。里山という、人の手が加わることでより調和を保つようになった自然環境に囲まれて生まれた作品群は、生物個体と環境との融和を思わせ、人間と自然との共存の可能性を問いかけます。

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