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​勝又 公仁彦

「デジタル化により写真の明証性が失われた現在においても、カメラとレンズによる写真はその対象とする世界を客観的に正確に写し撮っていると思われているきらいがある。確かにそのような機能はあるのだが、一つ目のレンズによるカメラに捉えられた刹那、目の前の三次元の対象世界は二次元のイメージに変換されている。つまり現実に基づきながらも、写真に写る世界は現実とは別の何者かに変化している。」と、勝又は語る。

  建築物の一部を切り取って撮影された『Right Angle』シリーズの作品は、一見抽象絵画に見えてしまう。せめぎ合う面と面の縁は線に変換され、建物という三次元空間は二次元になり、抽象に近づく。三次元と二次元が交差し、同時に存在しているかのような不思議な空間が出現する。

  視覚とは、目に入る連続した光を脳が処理して間接的にイメージを作り上げるプロセスである。それに対しカメラの受光部に写す光景を固定化する写真は、生物的な視覚が作り出したものよりも、直接現実を写し出したものである。しかし、写真は現実のある瞬間の光だけを切り撮った部分にしかすぎない。また、写真に写っている物を操れば、嘘を現実に見せられるという恐ろしい力も秘めている。極端に現実を切り抜き、別物に変わっていく勝又の写真は、「自分の目で確かめないと真実は見出せない。」と言わんばかりに、その素材の本性を明らかにするかのようである。

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