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原口 典之
1946年 神奈川県横須賀市生まれ。
日本大学芸術学部美術学科の学生であった60年代後半から、美術家としての活動を開始。1960年代末から70年における原口の作品は、関根伸夫、菅木志雄らと共に、「もの派」と呼ばれ、国際的に高く評価されている。
1977年にはドイツで開催される国際的な美術展「ドクメンタ6」に初めて日本人作家として選ばれ、廃油を満たした巨大な鉄のプールを発表し欧米中心の美術界に衝撃を与えた。続いて、パリ市立近代美術館でも「第10回パリ青年ビエンナーレ」に参加し、1978年にはデュッセルドルフのGalerie Alfred Schmelaで海外での初個展を成し遂げる。
原口の特徴は、素材のもつ存在感を十全のものとしてあるがままに提示するのではなく、場の生成に能動的な介入を行う点である。半立体的な絵画やレリーフ、また鉄材や鋼材、ゴムやポリウレタンなどの工業素材を用いた作品、軍用機のかたちを原寸大で再現させた立体には、常に「物質」に深くこだわった作家の意図が反映されている。工業素材を用いる作品の原点は、原口が生まれた横須賀の地にある米軍キャンプに見たアメリカの姿にあると言えるかもしれない。18世紀後半から始まった産業革命から200年後の20世紀に大量生産された工業製品と徹底的に向き合うことで、場としての空間の変容を生み出すのだ。
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